英検1級 合格までの道のり編 7. あとがき
「英検1級 合格までの道のり編」については、(補足記事を除き)当記事で最後になります。
私にとって、日本国内で最難関と言われる語学資格の一つである”英検1級”に挑戦し、合格を勝ち取ったことは非常に大きな財産になったと考えております。今回は、一つの「大きな壁」を乗り越えた後の素直な気持ち(成長を実感できた点・不足していると感じている点)を記録してまいります。この記事が、「英検1級にギリギリ合格した者」のレベル感を把握して頂くための一助となるとともに、「この程度の能力でも合格できる可能性があるのか!」と、現在英語学習に勤しまれている方々を勇気づける材料の一つとなれば大変嬉しく思う次第です。
■英検1級 合格までの道のり編 目次
※執筆済みの記事につきましては、今後章を緑色に変更し、文字上をクリック頂ければアクセスできるよう仕様に致します。
7. あとがき ←当記事
あとがき 全体の構成
今回は、以下の構成でお送りしてまいります。
Ⅰ. 英検1級への挑戦を通じて得られた点
Ⅰ-① 語彙力が大幅に増加
Ⅰ-② 幅広い社会問題に関する背景知識
Ⅰ-③ 批判的思考力(critical thinking ability)
Ⅰ-④ より長い文章を用い、臨機応変に英会話を継続する力
Ⅰ-⑤ 失敗点を「通過点」と捉え、冷静に分析する能力
Ⅱ. 課題意識を抱いている点
Ⅱ-① 社会問題に関する背景知識の理解がまだまだ表面的
Ⅱ-② 文法の理解がまだ浅い
Ⅱ-③ 不自然な表現を用いたアウトプットが多い
Ⅱ-④ 英語で書かれた(話された)一次情報を理解する力が不足
Ⅱ-⑤ 考えを瞬時に整理し、理路整然と説明する力が不足
Ⅲ. 今後のブログの運用方針(予定)
Ⅰ. 英検1級への挑戦を通じて得られた点
Ⅰ-① 語彙力が大幅に増加
これは、Readingの大問1対策によって得られた力になります。英検1級では、語彙・熟語の理解度を問う問題が占める比率が非常に高く(41問中25問)、大学入試を遥かに逸脱するレベルの語彙が出題されます。Readingで安定して得点を獲得するために、英検1級に頻繁に出題される単語・熟語がまとまった単語帳を何十周も繰り返して回したため、受験前と比較して高度な語彙を多数習得することが出来ました。
「1級で問われる語彙はネイティブさえも使わないので、学習しても無駄」といった意見が散見されますが、これは部分的に正しく部分的に間違っていると思います。
確かに、英検1級で問われるレベルの語彙を使わなくとも、簡単な日常会話は難なくできる可能性は高いでしょう。
しかし、英検1級レベルの語彙は、ネイティブ向けの新聞・ニュースでは頻繁に登場しますし、場合によっては子供向けの絵本で使われることもあります。少なくとも、私にとっては決して無駄な努力ではなかったと考えております。
Ⅰ-② 幅広い社会問題に関する背景知識
英検1級のWriting・Speakingでは、日本語で解答するのも難しいようなレベルの高いテーマが頻繁に出題されます。
(参考)Writing 過去に出題されたお題の例
2016-1st
Agree or disagree: World peace is an achievable goal
(賛成か反対か:世界平和は実現可能な目標である)
2016-2nd
Should democratic nations actively promote the spread of democracy to nondemocratic nations?
(民主主義国家は、非民主主義国家に対する民主主義の普及を積極的に推進すべきか?)
2017-1st
Can restrictions on freedom of speech ever be justified?
(言論の自由に対する制限は正当化されるか?)
2017-3rd
Should Japan rethink its relationship with the United States?
(日本はアメリカとの関係性を考え直すべきか?)
2018-2nd
Has a university degree in the humanities lost its relevance in today’s world?
(人文系の大学の学位は、今日の世界において意味をなさなくなったか?)
これらの問題に対して、説得力の高い意見発信をするためには、「背景知識の習得」が必要不可欠であると考えます(知識を一定水準以上備えていなければ、デタラメな文章を書く・話すことになると思いますので・・・)。
過去問を解く(+解いた後に復習・修正する)過程において、これらの知識に自然と触れてきたので、より幅広い視点から物事をとらえることができるようになったと思っています。
Ⅰ-③ 批判的思考力(critical thinking ability)
昨今の社会で求められている事項の一つに、「自身と真逆の意見も受け入れ、それらを総合的に考慮しながら合意形成を図っていく」ことが挙げられると思います。
英検1級のSpeaking対策において、自身の意見に反論された際にどのように切り返すかを考える機会が多くありました。この経験は、より多角的な視点から社会問題について考え、「偏った思考を極力減らす」こと(現代社会においてより強く要求される能力の強化)に大きく寄与したと考えています。
Ⅰ-④ より長い文章を用い、臨機応変に英会話を継続する力
英検1級受験前は、英会話そのものの経験が殆どない状態でしたので、何かに関する意見を英語で求められても、短文で返答することが非常に多かったように思います(準1級2次試験・1級2次試験1回戦がまさにそうでしたね・・・)。しかし、説得力の高い内容を相手に発信するためには、より具体性の高い情報の発信が必要不可欠になります。そのためには、短文のみの解答では太刀打ちできない場合も多々生じてくるのではないでしょうか。
英検1級Speakingの対策を通じ、長時間会話を継続し、より分かりやすく説得性の高い意見を発信する力を伸ばすことが出来たと思っております。
(あまりにも長い回答をすると、聞き手の意欲を削いでしまう可能性があるので、バランスも意識していきたいですね・・・)
Ⅰ-⑤ 失敗点を「通過点」と捉え、冷静に分析する能力
日本国内で最難関と言われる語学資格の一つに挑戦する以上、一筋縄ではいかないことが多々あったものです(ほとんどの方にとってそうだと思います)。私自身も、1次試験は合格ラインスレスレでしたし、面接試験に至っては2度連続不合格になっております。
当然ながら、結果を受けて一喜一憂することはありましたが、失敗を重ねるにつれて、そこから立ち直って冷静に次に踏むべきステップを考える場数を増やすことができたと考えております。人生経験が浅い20代前半のうちに、「挫折をどう乗り越えるか」の試行錯誤を多く重ねられたことは、自身にとって間違いなく大きな糧になったと思っています。
Ⅱ. 課題意識を抱いている点
成長を実感できた点がある一方で、伸び代だらけであるとも考えております。
Ⅱ-① 社会問題に関する背景知識の理解がまだまだ表面的
先述の通り、多岐にわたる分野に関する背景知識を増やすことはできたのですが、「英作文や面接試験を乗り切るための最低限の理解」にとどまっている分野がほとんどです。例えば、遺伝子組み換え食品のメリット・デメリットに関して簡潔に説明できても、詳細な社会的背景まで説明しろと言われると、現在の私にとっては結構難しいです。
今後20代後半に向かっていくにあたり、「大人として備えておくべき教養の密度の濃さ」の要求水準はますます上がっていくと考えています。英検1級を通じて得られた教養を、必要に応じてさらに深めていくための努力を継続していきたいものです。
Ⅱ-② 文法の理解がまだ浅い
「英検1級を持っているんだから、大学入試レベルで要求される文法事項は完全にマスターしているんじゃないの?」と聞かれることが時々ありますが、私の場合決してYESとは言えないのが現状です。
これまで挑戦してきた英検やTOEICでは、要求される文法的な知識レベルはさほど高くありません。そのため、大学受験で学習した比較的難易度の高い文法的な理解が部分的に欠落している可能性が大いにあります。
(平均正答率が比較的高い1級の長文問題について、全問正解できた回は1度もありませんし、「語彙問題よりもむしろ長文が足を引っ張る」という、他の受験者にはあまり見られないパターンに陥ったことが何度かありました)
その抜け穴を埋め、より幅広い文章を現在よりも速く正確に読み解くための訓練を、今後も継続していきたいと考えています。
Ⅱ-③ 不自然な表現を用いたアウトプットが多い
英作文や英会話の練習の過程において、いわゆる「日本語を直訳したような不自然な表現(ギリギリ意味は通るが、ネイティブから見れば違和感がある表現)」を大量に生み出していたと思っています。
今後、コロケーション(自然な単語の組み合わせ)を一層意識することによって、より自然な表現を用いて作文・会話ができるように少しずつ改善を図ってまいります。
Ⅱ-④ 英語で書かれた(話された)一次情報を理解する力が不足
Ⅱ-①でご説明したような、「大人としての教養の密度」をさらに上げていくためには、「日本語に限らず、英語で一次情報を読み解く能力の向上」が求められると考えています(英語でなければ得られない情報が多々転がっていますので)。
現在、英語ネイティブ向けの新聞記事・ニュース番組等を用いてそのための訓練をしているのですが、まだかなりの心理的負荷がかかっているのが現状です。Ⅱ-②でお示しした「欠落している文法的知識の補強」をしたのちに、英語で一次情報をより時間を掛けずに正確に理解できるよう、訓練を積み重ねていきます。
Ⅱ-⑤ 考えを瞬時に整理し、理路整然と説明する力が不足
(これは日本語にも言えることなのですが・・・)頭の中で考えを整理し、まとまりのある形で論理的に発信するための「処理速度(?)」がまだまだ遅いのが現状です。日本語・英語に限らず、言葉を埋めるための音声(あのー・何というか・えー…等)を頻繁に使い、思考の時間を稼ぐ癖があるんですよね。それゆえに、「もっと簡潔に説明してくれ」と指摘されることがまだまだ多々あります・・・
英語力に直接的にかかわるものではないかもしれませんが、思考や情報処理のスピードを速めるための訓練を積み重ねていきたいものですね。
Ⅲ. 今後のブログの運用方針(予定)
当記事をもちまして、「英検1級合格までの道のり編」の執筆は以上になります。
アクセス数を確認したところ、当初の予想以上に多くの方に読んでいただきましたし、全ての記事にスターを付けてくださった方も数名いらっしゃいました。少しでもお役に立てたようで、大変光栄に思っております。ありがとうございます!!
今後は、不定期に学習記録を付けていく形で、当ブログを運用していきたいと考えております。
TOEIC等の資格試験を受験した場合は、感想・結果等も合わせてご報告いたします。
また近日中に、学習用のTwitterアカウントを開設予定です(いわゆる「勉強アカ」というものでしょうか)。アカウントを作成次第、別の記事でお知らせいたしますので、ご興味がございましたらフォロー頂けますと幸いです。基本的には、当ブログと同様に学習に関する記録をつぶやいていく予定です。